2024年6月17日月曜日

2GM圧縮漏れ修理記録

 この記事は備忘録であり、そろそろメンテナンスが必要なヤンマーのGMシリーズに

乗られている方への「こういう事するのね」「出来るかな」「やってみるか」と

奮起してもらえるかも知れない記事。

尚、この修理画像は長兄のブログ(ココ)にてお楽しみください。

こちらでは文字での解説です。


では早速

エンジンは2GM、艇種はY30Cです

エンジンルームの狭い事だけが気がかり。

実際、ボンネットとシリンダヘッド(以下ヘッド)を外すのだが、内張りのスポンジが

ボロボロっと剥がれてしまうのを覚悟してほしい。

それが嫌なら、薄いプラ板でもタッピングで止めて。

さて、分解は補器類を外してくれていたので、ヘッドが降りる迄1時間ぐらい。

  • ボンネットを外す
  • 燃料パイプ・オイルパイプ外す
  • 噴射ノズル外す
  • バルブロッカーを止めているネジを2つ外しロッカーを引き上げる
  • ロッドを抜く
  • ヘッドのネジ8本緩め、ヘッドを持ちあげて外す
オイルパイプはヘッド裏側、ジンクの横に1本入っています。

ここで見つかった問題点

  • ロッカーアーム全体を支えるボルトが緩んでいた
  • スタッドボルト1本とヘッドの補助ネジ2本が緩んでいた

大体の原因は分かっています。(後述)

外したヘッドを洗浄。

ここで見つかった不具合

  • 吸気ポート内にカーボン(1番)
  • 吸排気ポートシート面に肌荒れ(1・2番共に。特に1番)
これで原因が定まる。

カーボン噛みによる圧縮抜け

圧縮抜けするも高回転では着火するまでは一応の圧縮になり何とか発火する為、白煙が止まりエンジンが回る。しかしながら、低速になるともたついたり失火して止まってしまう。クランクさせ、ピストン高さを確認するも異常無し、この時にピストン高さが正常でない場合、ピストンとクランクを繋ぐコンロッドの曲がりorカムシャフト異常、降ろして反転させてオイルパン外して全バラシとなる。

  • バルブコンプレッサーでコッターを抜く
  • バルブを抜く
  • バルブステムシールを外す
  • ヘッドを油洗する(パーツクリーナーやキャブクリーナー併用しカーボン除去)
  • バルブのカーボンを落としておく *めっちゃ付いていました
この後、中目→細目のコンパウンドを使い、バルブの当たりを付ける。

最初、ザリザリした音がしますが、回しながらたまに叩きつける、

そうすると「シャリシャリ」「シャシャシャ」「シュッシュ」と音が変わる。

また番手を変えて同じ事をやる。

それが終えたら、コンパウンドを流す為に再度洗浄し、シート面の最終チェック。

綺麗な幅で光っています。

あとは、新しいステムシールを打ち、バルブを挿入。

ステムシールは(外さなければ)再利用出来なくもないけど、消耗品だし摩耗したらオイル下がりの原因。

直すのにまたヘッド外す必要あるんで、ついでに交換が良いかと。

尚、「擦ったバルブを擦った場所に入れる事」「しっかりオイル塗る」です。

オイル塗らずに差したら新しいステムシールに傷が入ります。

面合わせしたバルブ以外だと当りが出ていないのでまた漏れます(笑)

まぁ、少し考えたら分かる事なんですけどね。

あとはスプリングを入れ、コンプレッサーで押しこんでコッターを入れる。

コッターはポロポロ外れるので、グリスを塗って接着します。

間違っても「バスコーク?」等と言ってはイケない。

めっちゃ怒られます。

これ以外にもアンチチャンバ外して洗浄とかしましたが、外した通りに組むだけなので割愛。

ではここから組み立てです。

  • ヘッドはオイルストーンで軽く擦り、フラットバーで平面確認。
  • バルブ周りはエンジンオイル塗布。おまじないです、密着が良くなる為の。
  • シリンダ内にエンジンオイル塗布(少量)
  • スタッドボルトを取り付け
  • ヘッドを載せる
  • ボルトを既定トルクで締める
  • ロッカーアームブロック用ボルトを取り付け
  • ロッド挿入
  • バルブステムキャップを載せる(グリスを付けておくと外れにくくて安心)
  • ロッカーアームブロックを載せボルトで締める
  • タペット調整
  • ボンネット閉じる
  • 補器類装着
こんな感じ。

先述のボルト緩み、恐らくトルクレンチが入れにくく手締めしたんじゃないかな?

テルクレンチは誤差が大きいので必ずトルクレンチを!

尚、デジタルトルクレンチアダプターは高さの関係で使えず、

会社からプレセット型のトルクレンチを借りた。

さて、再確認してエンジン始動。

エア抜きしたんで、クランキング数秒で初爆が聞こえる。

ドルンドルン!と息を吹き返す。

少し気になる点が有ったので、ボンネット開けて再調整。

もう一度エンジン始動、ああ「エエ音やなぁ」

整備した後の一番の御馳走はこの小気味よいエンジン音。

今までの癖でアクセル煽っていたので中立で掛ける。

エンジンは一撃で駆ける!

アイドリングが高い、負荷が無いって事

下げて貰う。

高回転から一気にニュートラルへ、止まらない。

整備は完了!

尚、今回使った工具一式

特殊工具

  • バルブコンプレッサー
  • タコ棒&コンパウンド
  • ロングパイプ(1m)*ヘッド等固いボルトを外す時に使用
  • オイルストーン(家で使わなくなった包丁用砥石でも可)
  • トルクレンチ
  • M17のロングソケット *ヘッドナット用
汎用工具(10~17に13は含まれます)

  • ソケットレンチ(10~17・27)
  • メガネレンチ(10~17)
  • スパナ(10~17)
  • マイナスドライバー(極短)

ケミカル

  • パーツクリーナー
  • エンジンオイル
  • キャブレタークリーナー
  • グリス *バスコークでの代用不可



2 件のコメント:

yojimaru さんのコメント...

バスボンド(バスコーク)に笑いました。
「コッタ」:高専で習って以来久しぶりの再開です。
症状が回復してスッキリしました。大変勉強になりました。
お世話になりっぱなしです。ありがとうございました。
拙HPにリンク貼ります。

woz さんのコメント...

まぁ、イジりながらの世間話と冷えたドリンクが生き甲斐です!
楽しけりゃエエんですよ。
楽しく出来ない人に頼まれてもやらんってのがそこらの理由、お察し下さい〜w